冬菜かしこの「のんびり ゆっくり 親孝行」の日々

70歳代後半の親と50歳代前半の娘のゆるい介護のような親孝行の記録です

父との禅問答

こんにちは、冬菜かしこです。

今日は手袋が手放せない、風の冷たい一日でした。

 

今日は二週間ぶりに実家に行きました。

母の様子は先のブログに書いた通りなので、このブログでは父の様子を書きます。

 

その前に。

今まで父のことについて「老化」と表現してきましたが、

これからは「認知症」と書いていきます。

その理由は、私のように家族の認知症で悩んでいる人が、

いるかもしれないと思ったからです。

少しでも誰かの心の支えになれたら、と思っています。

 

さて、今日の父の様子。

父の部屋に入ると、いつものように、こたつで丸くなって寝ていました。

「来たよお」と言っても、不機嫌そうに「静かにして」という感じでした。

でも少しすると、声の主が私だと分かったらしく、

むくっと起き上がって私の顔を見て、

「おや、おかえりー」と満面の笑みを見せてくれました。

 

そして「お母さんは、どこ行った?」を4回でも5回でも聞いてきました。

その度に「〇〇内科の病院に行ったよ」と答えました。

父は「そうかー」と答えてはいるものの、すぐに忘れてしまいます。

 

半年ほど前は、何度も同じことを聞くことに、

イライラしたり、悲しくなったり、

胸がざわざわすることもありました。

でも最近では「今日は何回聞くのかなー?」と半分楽しんでいます。

あんまり真剣に受け答えしなくてもいいと思うのです。

良くも悪くも、すぐ忘れるので、

「これ言っても忘れるだろうな。まあ、いっかあ」という前提で話さないと、

こっちの身が持たないのです。

介護は先の長いマラソンと一緒です。

飛ばしすぎると、後が持たないと思っています。

 

さて先日、父と電話した時に、ちょっと気になった言葉がありました。

それは「人には嫌われてもいい。でも嫌われ方には、いい嫌われ方と悪い嫌われ方がある。いい嫌われ方は、した方がいい」というもの。

認知症なのに、なにやら含蓄のある言葉をかけてくれました。

その時は「いい嫌われ方」の意味は話してくれなかったので、

今日はせっかく実家に来たので、直接聞いてみました。

 

「この間、いい嫌われ方はした方がいい、って言っていたけど、

それって、どういう意味なの?」とたずねると、

父はなにやら笑っていました。

でもいくら聞いてもいっこうに質問の答えが出てきません。

しばらくして、あきらめました。

たぶんもう、忘れているのだと思います。

でもせっかくなので、自分なりの答えを考えてみました。

 

「悪い嫌われ方は、自分勝手なふるまいをし、相手に迷惑をかけること。

いい嫌われ方は、相手に苦言を呈したり、正義を押し通すこと」

こんな感じかな?良く分からないけど。

父が忘れているので、もう永遠に答え合わせは出来ませんが、

父が自信を持って言った言葉なので、

これからも私の心に残るような気がしています。

 

そのあと、二人して、こたつで丸くなって横になりながら、

たわいのないお喋りを長々としました。

その中で私が

「結局、おいしいもの食べていたら、それが幸せだよねー」と言うと、

父は、がはははは、と笑い、そして、

「少し、おなかがすいているぐらいの方がいいんだよ」と言っていました。

 

「またもや、なんだか、含蓄ある言葉みたい」と思った私は、すかさず、

「お父さん、それどういう意味なの?」と聞いてみました。

今度は聞き逃すまいと思ったのです。

 

ところが。

残念でした。

父の頭の中は、すでに違う話題が浮かんできていて、

いくら話を続けても、質問しても、全く答えは帰ってはきませんでした。

あーあ。またですか。

仕方がないから、また自分で考えてみます。

 

「おなかが一杯になったら、眠くなってしまうから、集中力が下がるから良くない。

あるいは。

おなかが一杯になったら、というのを比喩的に考えると。

全てが満たされてしまうと、次に進もうという向上心が起こらないから良くない。

まだまだ上を目指そうと、思わないとだめだよ」

とか、そういう感じでしょうか?

ひとまず、そんな解釈をしておこうかと思います。

 

今日分かったことは、父との会話は、肝心なところでかみ合わないことがあり、

それをあまり期待してはいけない、ということ。

父との会話は、時に禅問答になる、と覚悟しておかないといけない、ということ。

答えが出ないからと言って、いちいち動揺していては身が持たない、ということ。

 

それでも、私の心にひっかかる言葉を投げてくれる父の存在は、

私にとってはかけがえのないものだと思っています。

たとえ禅問答になってもいいので、

これからもいろんな言葉を投げてくださいね。

答えは私自身が、考えていきますから。

お父さん、これからもどうぞ、よろしくです。

 

f:id:kashikofuyuna:20220224223745j:plain

 

左は父がデイサービスで作った、生け花です。

色々な色を使っていて、にぎやかなものになっています。

右は私が生け花ボランティアで頂いたお花を持参して、生けたものです。

仲良く並べて、玄関を華やかにしています。

 

明日も楽しい一日になりますように☆