冬菜かしこの「のんびり ゆっくり 親孝行」の日々

70歳代後半の親と50歳代前半の娘のゆるい介護のような親孝行の記録です

父のつるピカに和む

 

こんにちは、冬菜かしこです。

今日は初夏の暑い一日で、多少風もあり、お洗濯が気持ちよくそよいでいます。

 

さて週一の実家帰省に行き、ケアマネージャーさんとお話をしました。

父のデイサービスの更新手続きなのですが、

父母にとってはたまに来てくれるお客様なので、

二人とも少しおしゃべりになっていました。

 

母は最近の父の近況と、先日の徘徊の事を伝え、

「大変ですね」と言ってもらい、

少し納得したようでした。

 

父が胃の薬を飲むようになって、食欲がまし、

体力がつき、その体力をもてあますようになり、

あれやこれやと母に指示を出すようになって大変だそうです。

一日に何度も「物置の戸が閉まらないから閉めてくれ」

と言って呼びつけては、腰の痛い母が多い戸を閉め、

でも壊れているのでしばらくすると父が開け閉めし、

また外れて母を呼びつけるという悪循環。

 

「昨日はコーヒーの飲みすぎで胃が痛かった」と言うので、

母にとってかなりのストレスとなっているようです。

「業者さんに修理の依頼をしている」と何度言ってもきかず、

ほとほと困り果てているようです。

結局、「デイサービスの回数を増やそう」との結論になり、

デイサービスの方にケアマネージャーさんから連絡してくれることになりました。

 

そして母の方のデイサービスも、

ひとまず「体験入会してみる」とのことで落ち着いて、

こちらもやれやれという感じです。

いつもは自分の事はどんどん後回しにしてしまう母。

でも今回はさすがに「コーヒー依存症」になりかけて、

自分の体を労わることに気が向いてくれたようでした。

怪我の功名とでも、いいましょうか。

ともかく前向きになってくれて、良かったです。

 

相変わらずの父に振り回される母の日常は、

今回も「玄関の花、枯れている」という状況に表れていました。

なので早速自宅から持参した、今朝摘んだ庭の花を花瓶に生けてあげました。

ピンクのバラと、赤目の枝、あじさいに似た小さな白い花、

そして生け花ボランティアでいただいたカーネーション

今が満開のバラを少し入れるだけで豪華な感じになり、

ケアマネさんにも「きれいですね」と褒めていただき、

ちょっと嬉しかったです。

 

庭のスイートピーがきれいだったので、

台所用の空き瓶の花瓶にもお花をいけました。

春らしいパステルカラーのお花は、

見るだけで元気になるようで、

「お花があるっていいわね」と母がうれしそうに見てくれていました。

 

胃痛の回復した父は、そのありあまる体力を使って、

庭の土を掘り起こし、野菜の苗を植えていました。

丁寧に支柱までさし、ひもでくくって固定していました。

縦だけでなく横にも支柱を固定して、

頑強に作っていました。

 

先日妹が来た際に「お父さん、普通なところは普通だね」と言っていたと、

母が教えてくれました。

確かに認知症の人があれだけしっかり野菜苗の植え付けをするなんて、

良く考えれば不思議なことです。

朝ごはん食べてもすぐ忘れるし、

一日4回も5回も「お母さん、どこ行った?」「病院行ったよ」

の会話を繰り返すのに。

たとえ認知症でも、案外出来ることは多いのかもしれません。

 

今日は二人娘が短縮授業で早く帰宅するので、

午後2時頃に「それじゃあ、帰るね」と靴を履きました。

いつもは実家前の道路で手を振り、私の姿が見えなくなるまで見送る母も、

今日ばかりは体力が尽きたようで、

居間で「次は金曜日だね」と言っただけで終わりました。

 

玄関を出て庭で野菜苗の植え付けに精を出している父に、

「じゃあ帰るから」というと、

「ああ、暑いから気をつけてな。またおいで」

と言ってくれました。

そのあと腰をかがめて、支柱に紐をくくりつけていました。

間近で見る父のつるピカの頭を見ていて、

不謹慎ながら、なんだか色々なことを難しく考えるのが、

無意味なことのように思えてきました。

 

父はこれからいろいろなことを忘れていくでしょう。

それが悲しいと思っていたこともあったけれど、

どのみち、いつかは限りがあるのです。

永遠に一緒に生きていくことなどできないのです。

ならば、今なにをして楽しむか、

今度来た時どんな楽しい思い出を作るか、

どういう話をして、二人であっはっはと大笑いできるか。

それが大事だと思えてきたのです。

 

家の中の服や本や写真が増えていくように、

思い出もいくらだって増えていくのです。

それが過去に体験したような素晴らしい思い出ではないにしても、

今は今しか味わえない大切な思い出が作れるはずなのです。

 

なんでもないことで笑って、

なんでもないお昼ごはんを食べて、

たわいもないコーヒータイムのおしゃべりが、

ただそれだけでも、今はとても素敵な思い出なのだと思います。

 

小学生だった私の宝物と、

大人になった私の宝物が違うように、

過去の思い出と、

今の思い出は違って良いと思うのです。

 

頭頂部のきれいにつるっとピカっとした父の頭を見ながら、

「やっぱりつるピカは面白い」と妙に愉快な気持ちになりつつ、

隣の市の自宅へと帰宅していきました。

 

明日も楽しい一日になりますように☆